2.固定的賃金の変更とは
社会保険の中では、給与を「固定的賃金」と「変動的賃金(非固定的賃金)」の2種類に区分しています。
この内、「固定的賃金」の「変動」があった場合を、月額変更届の第一要件としています。
固定的賃金とは、「基本給(月給・日給)、役付手当、家族手当、住宅手当、通勤手当など」を指します。
変動的賃金とは、「残業代、休日出勤手当、皆勤手当など」を指します。
なお、固定的賃金の変動が行われる場面としては、
基本給の昇給(ベースアップ)や降給(ベースダウン)
給与体系の変更(日給から月給への変更等)
日給や時間給の基礎単価(日当、単価)の変更
請負給、歩合給等の単価、歩合率の変更
住宅手当、役付手当等の固定的な手当の追加、支給額の変更
この様に、固定的賃金に該当するものの金額が変動した場合が、「固定的賃金の変更」となります。
3.2等級以上変わっている時とは
「固定的賃金の変更」があり、変更(変動)以後3ヵ月の間に支払われた報酬総額の平均月額が、これまでの標準報酬月額と2等級以上差がある場合が、月額変更届の第二要件となります。
【例外的に月額変更の対象とならないケース】
固定的賃金は上がったが、残業手当等の非固定的賃金が減ったため、変動後の引き続いた3か月分の報酬の平均額による標準報酬月額が従前より下がり、2等級以上の差が生じた場合
固定的賃金は下がったが、非固定的賃金が増加したため、変動後の引き続いた3か月分の報酬の平均額による標準報酬月額が従前より上がり、2等級以上の差が生じた場合
4.基礎日数が17日以上ある時とは
基礎日数(賃金支払いの対象となった基礎日数)とは、給与支払いの対象となった日数をいいます。
月給者は、出勤日数に関係無く、1ヵ月の暦日数が「支払い基礎日数」となります。
※日給月給制の場合は、所定労働日数から欠勤日数を差し引いた日数が「支払い基礎日数」となります
時間給者や日給者は、出勤日数が「支払い基礎日数」となります。
変動月以後の3ヵ月の全ての月が、「支払い基礎日数」17日以上ある事が、月額変更届の第三要件となります。
※特定適用事業所に勤務する短時間労働者は11にちです。
5.標準報酬月額の変更の時期について
月額変更の要件を満たし場合には、変動した固定的賃金の支払いが3カ月有り、4カ月において「標準報酬月額の変更」が行われます。
変動した月から標準報酬月額が変わるのではありません。
そして、被保険者にかかる社会保険料についても、賃金が変動して3カ月間は、従前の社会保険料額となります。
月額変更届を行ない、標準報酬月額が変更されて初めて、発生する社会保険料も変わってきます。
6.届出作業について
月額変更届の提出時は、変動した固定的賃金を3カ月支払いしてから、となります。
添付書類は、原則として不要です。
ただし、改定月の初日が、受付年月日より60日以上遡る場合、または標準報酬月額が大幅に下がる※場合には以下の添付書類が必要となります。
※「大幅に下がる場合」とは、原則、標準報酬月額の等級が5等級以上下がる場合をいいます。
【添付書類】
○被保険者が法人の役員以外の場合
賃金台帳の写し
固定的賃金の変動があった月の前の月から、改定月の前の月分まで
出勤簿の写し
固定的賃金の変動があった月から、改定月の前の月分まで
○被保険者が株式会社(特例有限会社を含む。)の役員の場合
以下の1.~4.のいずれか1つおよび所得税源泉徴収簿または賃金台帳の写し(固定的賃金の変動があった月の前の月から、改定月の前の月分まで)
株主総会または取締役会の議事録
代表取締役等による報酬決定通知書
役員間の報酬協議書
債権放棄を証する書類
※ その他の法人の役員の場合は、これらに相当する書類
イオン社労士事務所について
創業
2006年8月
特徴
イオン社労士事務所は、岩倉市に事務所を構える社会保険労務士の事務所です。主に企業に労務管理のサポートや企業の社会保険手続きの提出代行を行なっています。また、企業の給与計算も行なっています。企業となるお客様は小牧市の市内の事業所や北名古屋市の市内の事業所が多いです。また、新たに企業を新規設立された場合や、従業員の人数が増えてきたタイミングによる依頼をされるという企業からのお取引が多いです。